アイゼンヒュッテンシュタット、3時間。2013年9月13日。

昨日よりプラハはヴィノフラディ区に居を構えるようになりました。当面はこれから9ヶ月滞在することになるプラハから日々の冒険をおとどけるすることに致します。

さて、先週末ついにいってきましたアイゼンヒュッテンシュタット。

労働者の労働者による労働者のための街。社会主義がまだ多少息吹きを残している街だった。とはいえ、旧ソ連圏で、これよりもさらに派手な社会主義謹製メガロタウンを見慣れてきたこの小生の目には、多少田舎にある計画都市という印象以上のものではなかったが。ともあれ、3時間程度の滞在ではなにも見ていないということだろう。なので、またいかねばなるまいが、これはチェコ帰還以後、来年の夏以降のお楽しみとしておこう。

今回の訪問のハイライトはドイツ民主共和国における日常文化の資料館Dokumentationszentrum Alltagskultur der DDRだっただろうか。

この資料館が居を構えている建物自体も、この街にある多くの建物同様、文化財保存されている、1953年に建てられたというかつての託児所Kinderkrippeだった建物を受け継ぐ形で、統一後早くも1994年に開設されている。

常設展もこの街の歴史を中心で、特別展はDDRのプラスチック製の日用品の紹介で製造工程や場所に関しての記述も充実していたのでなかなかたのしませてもらった。

現在の問題は運営の面だということで、当初は有志によってはじめられたこの資料館も、現在存続自体が危ぶまれているということだ。此処数年はブランデンブルク州とこの街が位置するオーダー・オーバースプレー県からのみ財政的支援をうけるのみなったが、今年からアイゼンヒュッテンシュタット市からも財政的補助をうけることになったという。それでも、この先の見通しはまだたっていないということだ。この街の文化財保存指定されている建造物が多いとはいえ、この街へと観光客を呼び込むための材料としては有するポテンシャルはこの資料館がこの街が唯一無二ともいえなくはなかろうか。実際、この街を数時間歩いた限りではそういうほかなかった。この資料館がなるとすればもったいないとしかいうほかない。是非、この資料館の維持、そしてさらなる発展を望む。

資料館をでた小生たちは街の目抜き通りとおぼしき通りを歩く。人通りはある。商店には物が溢れているわけではないけれど、人気もある。ノイケルンにはついぞ見かけない本屋もしっかりあって、ショーウィンドーにも新刊書がそろって飾られている点は、寧ろノイケルンの文化的水準の低さ(!!!)からすればうらやましい限りでもある。ノイケルンにはまともな新刊書をそろえる本屋など知る限り、クロイツベルク方面の北ノイケルン、いわゆる「クロイツケルン」に二軒存在するのみだ。

けれども、街には若い人の影はあまりない。それは、過去の賑わいを想像させる目抜き通りは通りの広さからすると相当に寂しい。

と思えば、街で唯一無二ともおぼしき劇場には来月にSchillerのコンサートを予告するポスターがデカデカと掲げられている。なるほど。ギッシリすし詰めになることだろうZitadelle SpandauあるいはO2 Worldあたりで聞くよりも音楽自体は楽しめそうではなかろうか。アイゼンヒュッテンシュタットで、社会主義的重厚なホールで聞くSchillerもなかなかおつなものでなかろうか、と思った。

が、もっとも、Schillerは・・・、小生は聞かない・・・。

目抜き通りから、小道にはいると軒並み空き家が続く界隈が続いた。ここは、この街でも一番最初に開発がすすんだあたりで、現在区画全体で建物の改装とインフラの更新に入っているという。文化財保存の家屋なので、取り壊しができないのだ。もっとも、それを厳密に適応するのもドイツらしい。それは意義のあることではあるが、人口の流出が続くこの街ではどれほどのメリットがあるか。

もちろん、街が縮小するということは折り込み済みのことだろう。建物の更新を続ける一方で、時代を後にして建てられた家屋の解体が進められることになる。街はコンパクトにはなるだろう。けれど、往時の賑わいは永久にはもどってこない。寂しいことではあるが、これはこのアイゼンヒュッテンシュタットだけではなく、少子高齢化を迎える世界中のどこの街もが直面する現実ではある。

それを差し引いても、この街の空洞感はいかにも旧東ドイツ的ではあった。この土地のどこにでもあるリアルな現実だ。それは倦怠感を煽る。それもこの世界のどこにでも現在進行形である出来事だ。チェコにだって、日本にだって、どこにでもある現実だろう。

奇しくもドイツを一年離れる今にいたって、まだ自分が十年間も住んだベルリンという街の周辺に偏在しているこの現実にようやく気づかされることになったこの皮肉。ドイツに帰還することになる来年の夏がいまから楽しみでもある。東ドイツ、まだまだ見いだされるべき現実は山ほどある。

以下はそのドイツを離れる前に訪れたドイツの社会主義が作ろうとした労働者のための理想郷アイゼンヒュッテンシュタットの小生なりの見方であります。是非一見あれ。

IMG_0002

IMG_0005

IMG_0003

IMG_0008

IMG_0009

IMG_0010

IMG_0011

IMG_0017

では今後ともプラハからのLügenlernenをよろしく。ではまた自戒。