デンマークへの恨み節。

おとついのオランダ代表ことオラニエの低落。

オラニエがまたしても、チームとしてのまとまりのなさをみせつけて、デンマークに負けた。むしろ、というよりも、超攻撃的布陣というが、点取り屋たちというエゴイストたちの空回りの為の自滅のようにしか映らない、0−1の敗北。

この時点でオラニエの今回のサッカーの欧州選手権のグループB突破はかなり苦しくなったといわざるを得ない。オラニエは残る独逸と葡萄牙相手に、グループ突破をかけて、なんとしても勝ち点を、最低でも4は重ねなければならない。もちろん、どちらも攻撃が売りのチームなので、オラニエとってはデンマークよりも組しやすい相手とはいえる。オープンな打ち合いを期待できるかもしれない。だが、相手の実力は初戦をみただけでも明らかだ。チームとしての完成度は独逸と葡萄牙のほうがオラニエよりも上なのは間違いない。

ところでデンマークは、このオランダの自滅にも、審判の誤審にも助けられたが(終了直前のハンドをめぐる判定)、やはり狡猾だった。独逸や葡萄牙相手にもそつなく立ち回るだろう。彼らが両チームとの対戦を引き分け二つできりぬけられれば、このグループの行方はわからない。それでも、グループ突破するのが独逸と葡萄牙であればフットボールにとって幸福であると小生はみているが。

デーニッシュダイナマイトとデンマークがかつて攻撃サッカーを御家芸にした時代は過去だが、こういったトーナメントでは試合に勝つことが最優先。アンチフットボールと、小生のような攻撃サッカー標榜者やオラニエファンにののしられようと、デンマークの勝ちは勝ちだ。

それはまるで一昨年南アフリカでの日本の初戦での振る舞い方をみているようだった。チームとしてのまとまりのないカメールン相手に本田があげた虎の子の先制点一点を守ったように。

それでも小生のハラワタはデンマークのアンチフットボールに対して怒りで煮えくりかえっている。

なのでスウェーデンの名優故エルンスト・フーゴー・イェーレゴードErnst-Hugo Järegaardによるスウェーデン人によるアンチ・デンマークの決め台詞 „Danskjävlar!“(「デンマーク野郎、くそったれ!」、英語では“Bloody dane!“となっていたが)でもって小生の怒りを代弁してもらう。

このクリップの出所はラース・フォン・トリアーのキングダムRigetの冒頭シーン。作品自体がデンマーク社会への大いなる皮肉とクリシェで満載。デンマークという国の文化や習慣について多少なりともしっていないと、内容に入り込むのはかなり困難かもしれないが。

ともかくこんな映画をつくってしまったお陰で、彼はデンマークではおおいに嫌われることになったのだが(もちろん彼個人の発言や性格にもおおいにその原因をもとめてもよいのだが)、押しも押されぬ彼の代表作のひとつであることには代わりはない。

このシーンはエルンスト・フーゴー・イェーレゴード演じるスウェーデン人医師ヘルマーがコペンハーゲンの王立病院の屋上で、スウェーデンへの愛とデンマークへの憎しみを叫んだシーンだ。

この“Danskjävlar!“はスウェーデン人がデンマーク人を罵るときによく聞く台詞だし、スウェーデンとデンマークという二国の文化比較の場でもよく言及される。

例えば、2008年のサッカーのヨーロッパ選手権の予選グループの一戦。コペンハーゲンでのデンマーク対スウェーデンとの一戦で、試合終了直前に泥酔したデンマーク人観客の審判への襲撃によってこの没収試合になり、3−0でスウェーデンの勝ちになったのだけれど、一緒に見ていたスウェーデン人の友人たちはこのシーンの直後から数時間もとい数ヶ月にわたってこのシーンが話題になるたびに“Danskjävlar!“を繰り返していた程だった。

ちなみに冒頭の写真はなんとこの“Danskjävlar“をネタにした展覧会の会場の入り口に展示してあったパネルだ。そしてこのパネルを越え、会場にはいって最初に目に入った展示物がこのエルンスト・フーゴー・イェーレゴードの“Danskjävlar“だったわけである。展覧会のサブタイトルはEn svensk kaerlighedserklaering、つまりドイツ語ならEine schwedische Liebeserklärung、日本語に直すならば「スウェーデン的愛の告白」、もちろん良き隣人であるデンマークに対して。つまり“Danskjävlar“は親しさあまって憎しみ百倍、というたちの告白というわけである。

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もう4年の前のことなんで、展覧会の詳細のことなどさっぱり記憶にないが、手元にのこっている展覧会のリーフレットにも、やはりというべきか、ヘルマーことイェーレゴードの台詞にこの展覧会自体の多くを負うていると書かれている。

実際イェーレゴードはスウェーデンだけでなくデンマークでも様々な舞台やテレビドラマや映画に客演している。その中でももはや伝説の域に達しているのが、デンマークを代表するタブロイド紙のEkstrabladetのCMだ。6回シリーズによるデンマークに対するスウェーデンクリシェの連発はもはやこれだけで芸術の域に達している。

では伝説を6連発。今日はスウェーデン対ウクライナ戦なので、一発目にこれを。

このCMには、これが制作された90年代初頭、デンマークがサッカーの欧州選手権を勝ったころだったので、それへのスウェーデン人の僻みがよく現れている。当時スウェーデンはホッケーは強いが、サッカーは今ひとつだったのだ。てなわけで“Sverige!“(スヴェリエ!: スウェーデン語とデンマーク語ではスウェーデンのことをそういう。)

というわけで今日はこれでお開き。

ではまた自戒。